兼家が「Bクラスの令嬢」を正室として大切にした理由
そもそもですが、兼家は生まれながらに父の後継者の座を約束された人物、ではありませんでした。
長兄の伊尹と連繋したり、次兄の兼通とはむき出しの権力争いをしたり、と熾烈な競争を勝ち抜いて藤原氏のトップの座を勝ち取ったのです。
となると、強力な後ろ盾がのどから手が出るほどに欲しかったはず。
それでも彼は「Bクラスの令嬢」を正室として大切にした。それはやはり、恋愛感情が存在したからに相違ありません。
兼家、やりますね。道長の身近には、こういう人もいたのです。
だから道長だって、できないはずはなかったのでは?
個人的にはやっぱり、まひろと道長がしっかり結ばれる物語が見たかったなあ。
『「失敗」の日本史』(著:本郷和人/中公新書ラクレ)
出版業界で続く「日本史」ブーム。書籍も数多く刊行され、今や書店の一角を占めるまでに。そのブームのきっかけの一つが、東京大学史料編纂所・本郷和人先生が手掛けた著書の数々なのは間違いない。今回その本郷先生が「日本史×失敗」をテーマにした新刊を刊行! 元寇の原因は完全に鎌倉幕府側にあった? 生涯のライバル謙信、信玄共に跡取り問題でしくじったのはなぜ? 光秀重用は信長の失敗だったと言える? あの時、氏康が秀吉に頭を下げられていたならば? 日本史を彩る英雄たちの「失敗」を検証しつつ、そこからの学び、もしくは「もし成功していたら」という“if"を展開。失敗の中にこそ、豊かな"学び"はある!