透析はとても過酷な治療

しかし、それらに増して腎症は深刻です。網膜症や神経障害は予防対策も進んでいて、重症になる患者さんは減っていますが、逆に腎症は重症者が激増しています。

今、日本では透析を必要とする慢性腎臓病の患者さんが30万人を超えていて、そのうち約4割が糖尿病の合併症によるものです。

透析とは、腎臓がまったく働かなくなってしまった患者さんの血液を専門の器機に通すことで、老廃物や毒素を排出する治療です。糖尿病の合併症などで慢性腎臓病が進行すると、透析が不可欠となります。さもなければ、老廃物や毒素が溜まって、即、命に関わるからです。

しかしながら、透析はとても過酷な治療です。1回5時間ほどかかり、その間ずっと腕に針を刺し、横になっていなくてはなりません。以前は1回4時間ほどで終えていたものの、少しでも長く時間をかけたほうが患者さんの体にとっていいことがわかり、今は5時間がスタンダードになっています。