「短期記憶」と「長期記憶」
ひとり言によって、記憶力が増すという実験結果もありました。
ちなみに、記憶には「短期記憶」と「長期記憶」の2つがあります。
短期記憶というのは、「思考系」と「理解系」が合わさってできた、ワーキングメモリに記憶されたものです。
一方、長期記憶はワーキングメモリから「記憶系」、とくに海馬によって情報が短期記憶から長期記憶へ転送されたものをいいます。
短期記憶が、数字や意味のない言葉の羅列のようなものが多いのに対して、長期記憶は体験に基づいたエピソード記憶などが中心です。
逆に言えば、脳は意味を持たない記号より、意味を持つエピソード記憶を重視しているのです。
実際、私たちが過去を振り返り、現在の人生、あるいは未来に役立つ情報は何かというと、歴史の教科書に書いてあった年号ではなくて、過去に体験したさまざまな体験やエピソードでしょう。
だからこそ、過去の体験を通じたエピソード記憶が、海馬の長期記憶の中枢に収められるわけです。