同級生の絵

ただ、自分の絵が上手いと思ったことは一度もありません。

小学校の同級生の中に、絵がとても上手な少年がいて、どうやったらあんなふうに上手く描けるんだろうと、いつも感心して一目も二目も置いていました。

『なんたって70歳! ― だから笑顔で生きる』(著:岡崎友紀/興陽館)

ところが、その少年の絵を差し置いて、小学2年生の時、私の絵が千代田区の「特選」になりました。

学校からバスで横浜の港まで行っての写生会で、小さな「曳船」を描いた私の絵が選ばれたんです。

しかし、その時の担任の教師が、そのことを生徒に発表しませんでした。

もっと大きくて立派な客船を描いた上手な絵があるのに、その子じゃない絵が選ばれて許せなかったのでしょうか。

コソコソと母親を呼んで、他の生徒に見つからないように賞状を渡して、「特選」を無いものにされてしまったんです。

せっかく区からの「特選」をいただいてうれしいはずが、その日から自分の絵への自信はゼロより下回って、マイナスになってしまいました。