夢をかなえてくれるのは、神様ではなく人間だから

ずっとずっと、時代劇に出演したかった。夢、と言ってもいい。

きっかけは、小学生のときに家族で行った会津旅行。

冨永愛
(C)Yusuke Miyazaki

白虎隊の少年たちの痛ましい死を知り、歴史の中に埋もれていった多くの人の涙があることを知った。

でも、本格的に自国の歴史を知りたいと思ったのは、モデルになって海外で仕事をするようになってからだった。

出会うモデルたちは自分の国の歴史や文化に誇りをもっていて、家族のことを話すように、歴史上の人物を語る。なのに私は日本のことを何も知らない。

勉強しなくちゃと思い、まずはとっつきやすい時代小説や歴史小説を読むようになった。そして徐々に時代劇へのあこがれは募っていった。

時代劇に出るなら、馬には乗れたほうがいい。剣も使えたほうがいい。

そう考えて、個人的に馬術や殺陣(たて)を習うようになった。なんのオファーもないのに、だ。

でも、声がかかってからじゃ間に合わないから。

……こうやって書いてみると、我ながらけっこうな妄想力だと思う。でもそれがよかったのだ。

ちなみに、殺陣を習ったのは侍の役で出演する可能性もあると思ったから。

この身長では、お姫様や町娘はなさそうだな、という自己認識。

でもまさか、将軍をやるとはね(笑)。