冨永愛
(C)Yusuke Miyazaki
国連持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)が2024年に公表した「世界幸福度レポート」によると、日本の幸福度は143カ国中51位で、前年の47位から4位下降しました。このような状況のなか、世界的トップモデルで俳優としても活躍する冨永愛さんは「コンプレックスを山ほど抱えていても、幸せになることはできる」と語ります。今回は、冨永さんが自身の生き方を綴ったエッセイ『冨永 愛 新・幸福論 生きたいように生きる』から一部引用・再編集してお届けします。

夢は言葉にする。オファーがなくても準備する。だから扉は開く

時代劇に出たいと公言し続けて、思いがけず将軍様に

私は温泉が大好きで、地方の小さな湯治場のような温泉に行くこともある。

脱衣所で素っ裸になっている私に、地元のおばちゃんたちは気さくに声をかけてくれる。

「背が高いのねぇ」「モデルさんみたいねぇ」って。

もちろん「実は私、モデルなんですけど」などとはけっして言わない。

「うれしいなぁ。なろうかなぁ」なんて言って、ガハハハとみんなで笑うのが楽しい。

ところが2023年、状況が変わってしまった。そう、すっかり身バレしてしまったのだ。

しかも「えぇ? 上様?」と言われる。「将軍様?」「吉宗様?」あ、そっち?

知っていただき、うれしいんだけど、ちょっと服が脱ぎにくい……。

それもこれも、NHKドラマ『大奥』に八代将軍・徳川吉宗役で出させてもらったからだ。

あっという間に冨永愛が幅広い世代の人に知られるようになった。