起床後1時間以内にタンパク質を

時間栄養学にまつわる数々の論文を発表してきた農業・食品産業技術総合研究機構上級研究員の大池秀明氏によると「朝食を摂取している人としていない人とでは、最終的に人生が変わるくらいパフォーマンスが違ってくる」という。

「小・中学生の学力テストの結果は毎日朝ごはんを食べている児童・生徒が明らかに成績が良く、また体力テストの結果も良いのです。

『老けない最強食』(著:笹井恵里子/文藝春秋)

これらは相関関係であり、因果関係(=成績が良い原因は朝食摂取)ではありませんが、イギリスの学生を対象にした研究でも、アメリカの児童を対象とした研究でも、朝食摂取グループはミスが少なく記憶力が良い、正解までたどり着く時間が短いなどで、良い成績に結びついています。

このことから朝食を食べると頭が働く、もしくは食べないと頭が働かないということがわかります」

さらに東北大学の加齢医学研究所が大学生400人を対象にして行った調査では「朝食摂取習慣がある学生のほうが志望する大学に入っている割合が高い」ことがわかった。

それも朝食摂取習慣のある学生のほうが“偏差値の高い大学”に入っているというから驚きだ。

「就職した会社、年収とも、朝食摂取と関係がみられます。35~44歳の会社員500人に、小学生から現在までの朝食習慣と、新卒時に就職した会社が第何志望であったかをアンケート調査すると、朝食をほぼ毎日摂取するグループは約60%が第一志望の企業に就職しているのです。また現在の年収別にグループ分けすると、年収が高いグループになるほど、小学生時代から現在まで朝食をほぼ毎日食べていた人の割合が高くなりました」(大池氏)

反対に、ほとんど朝食を摂らない生活を続けてきた人たちは、年収500万円未満のグループに多いという。子どもや孫がいる人は、ぜひ気をつけてほしい。

こんな生活の人は体内時計が乱れて老けやすい!<『老けない最強食』より>

そして“おひとりさま高齢者”も無関係の話ではない。

朝食を食べないと筋肉量が減少し、肥満や糖尿病、脳卒中のリスクが高まることがわかっている。

「人それぞれ何時が朝でもいいですが、起床後1時間以内にタンパク質を補給することが重要」と大池氏が続ける。

「起き抜けは栄養素が枯渇していて、その状態で動き続けると体は筋肉に含まれる貴重なタンパク質を分解し、生きるエネルギー(ブドウ糖)を生み出そうとする。筋肉が衰えますし、筋肉の時計だけが前に進み、体内時計の乱れにつながってしまうのです」