アクセルとブレーキ

ところが、いくら自分のお尻をたたいても、うまくいかないこともあります。そういう時に「こんなに必死に自分を追い込んでも、ダメだった」とがっかりします。

そうすると、かくれ繊細さんは、これまでお尻をたたいてうまくやってきた方法を、信用しなくなるのです。うまく成果を出せなくなるからです。

(写真提供:Photo AC)

でも、自分を追い込む以外の方法は知りません。だから、疑いながらも、その方法でやりつづけるしかなくなります。

もっと強く、もっと激しくお尻をたたけば、いい成果が出るのではないか、とますます激しく追い込むようになり、心身がついていけなくなります。

この、激しい追い込みがかくれ繊細さんのアクセルです。

でももう一方では、「悲しい、怖い。もうできない」と拒否的な反応を起こします。これが、かくれ繊細さんのブレーキです。

かくれ繊細さんは、そんなふうにして2つのペダルを同時に全力で踏み込んで、2倍のエネルギーがかかっているので、疲れるのです。

それで、力尽きて寝込んでしまったり、ぼんやりしてしまうことがあるかと思います。これは、かくれ繊細さんにとっては「もうできない」というサインです。

体がアクセルとブレーキのかかりすぎを止めるために白旗を上げているのです。かくれ繊細さんの疲れやすさは、自分の心身を守るためのしくみなのです。

「自分に厳しすぎる」とか「理想が高すぎる」「もっと、普通でいいんだよ」などと言われるかくれ繊細さんたちの、身に覚えのある共通体験なのではないかと思います。