杉本さんの説明を聞くスタッフの表情は真剣だ

この日、6人のライダーを支えるために集まったスタッフは55人。全員がボランティアだ。午前9時。開会挨拶に続き、ボランティアマネージャーの杉本卓弥さんがレクチャーを始める。

「安全第一のため、まずは情報共有が大切です。どんなに小さなことでも必ず周りに相談してください。スタッフには、医療関係者、バイク屋さん、教習所の先生もいます。専門の方の判断を仰いでくださいね」

続けてライダー一人ひとりの障害の詳細と、どんなサポートが必要かを丁寧に説明。ライダーごとにスタッフをグループ分けし、乗り降りをアシストする練習に入る。バイクは走り出してしまえば車体が安定するので、発進と停車さえサポートすれば問題ないという。

使用するバイクは、たとえば足が動かなければ代わりに手で操作できるよう、各人に合わせて改良されたものだ。専用のインカムがヘルメットについていて、走行中はライダーに指示することができる。

ボランティアスタッフの動きは機敏で、驚くほど連携が取れていた。ピリピリした雰囲気はなく、緊張感のなかにも笑顔が絶えない。