近年の物価高や不景気の影響で、「周囲の人に優しくできる<精神的なゆとり>をなかなか持てない」という方もいるのではないでしょうか。そのようななか、精神科医の和田秀樹先生は「こんな時代だからこそ、『優しさとは何か?』を改めて見つめ直す必要がある」と指摘しています。そこで今回は、和田先生の著書『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』から、毎日を前向きに過ごすためのヒントを一部ご紹介します。
人に優しくすることは、見返りを求めなければ「気分がいい」ものです
人に親切にして、「どうして感謝の気持ちを示さないんだ」とか、「あの人はなぜ、ありがとうのひと言が言えないんだろう」と腹を立てることは、自分が勝手に見返りを期待して、勝手に裏切られているだけのことですから、相手の反応にすべてを委ねていたのでは、余計なストレスを抱え込むことになります。
こうした「独りよがり」を回避して、自分の感情を安定させるためには、視点を変えて考えてみることが大切です。
人に優しくすることは、本来は気分のいいものです。
年配の方に席を譲って、相手に感謝されなかったり、「ありがとう」の言葉がなかったとしても、「少しだけ人の役に立てたな」とか、「ちょっとだけ、いいことをしたな」など、気分の良さを素直に享受すればいいのです。
大事なポイントは、一人で勝手に自己満足するだけで、すべてを終わらせてしまうことです。
相手からの見返りを期待してしまうから、損をした気分になるのです。