そのうえで、先ほどお伝えした「医療に使えるお金」が十分にある人は、保険を卒業するのも選択のひとつ。高齢になるほど(2)(3)の出費がかさむため、自由に使えるお金を手元に持っていたほうが使い勝手がいい場合もあります。
あるいは医療保険よりも、治療が長引く可能性のあるがんに備え、「がん保険」を優先させるのも一手です。
逆に保険に入っていたほうがいいのは、貯蓄が十分ではなく年金額が少ない人、貯金はあっても生活費や介護費など使い道が別にある人です。これからお金を貯める時間や体力がなければ、いざというときのために保険で備えることも必要でしょう。
その場合、ポイントは終身保障であること。ほかにも何か特約で保障をつけたほうが安心だと思うかもしれませんが、その分月々の負担は大きくなります。保険料は目安として収入の5%以内に収めるようにしましょう。
配偶者として医療保険に入っている人は、夫が亡くなった時点で妻の保障も消滅してしまう可能性があります。おひとり様になった後の収入や貯蓄額に心配がある場合、妻も自分の医療保険に入ると安心です。
また、「85歳まで入れる」などと謳った医療保険のCMを最近よく見かけますが、そもそも75歳を過ぎたら多くの人は自己負担1割で、医療費は多くかかりません。むしろその時期に必要なのは介護費用のほう。ただし、病気の治療を目的としなければ、入院しても医療保険は対象外となります。
医療費のやりくりは、公的制度を最大限に活用することが大前提です。そのうえで、預貯金や自分に合った民間保険などで不足部分を補いながら、経済的なリスクに備えましょう。