不衛生なトイレは感染症の温床になる

トイレを使用する際、ほとんどの人が同じ箇所に触れます。

例えば、ドアの取っ手、鍵、便座のフタ、便座、トイレットペーパーホルダー、洗浄レバーやボタン、手洗い場の蛇口です。

これらが汚染されていた場合、ウイルスや細菌が人の手を介して伝播することになります。

単に手が汚れるだけでは感染しませんが、私たちは無意識に手で顔に触れているため、目や口、鼻の粘膜を通じて感染するリスクが小さくありません。

手洗いやトイレ掃除が十分にできない不衛生なトイレを不特定多数の人が使用し続けると、感染性胃腸炎などのウイルス感染症に罹患するリスクを高め、集団感染を引き起こします。

東日本大震災では、石巻赤十字病院などの調査で、津波被害のあった石巻市および東松島市、女川町にある公立学校や公民館など、計272か所の避難所のうち約4割のトイレで汚物処理が十分にできず、少なくとも約50人に下痢、約20人に嘔吐の症状がみられました。

感染症予防の観点からも、トイレを衛生的に保つことは非常に重要です。

※本稿は、『トイレからはじめる防災ハンドブック 自宅でも避難所でも困らないための知識』(学芸出版社)の一部を再編集したものです。


トイレからはじめる防災ハンドブック 自宅でも避難所でも困らないための知識』(著:加藤篤/学芸出版社)

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