2024年8月8日、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の大きな地震が発生し、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が一時的に発表されました。災害への備えで後回しにされがちな「トイレ」ですが、NPO法人日本トイレ研究所代表理事の加藤篤さんによると「発災後3時間以内に約4割の人がトイレに行きたくなる。だから水・食料より先にトイレ対応が必要」とのこと。そこで今回は、加藤さんの著書『トイレからはじめる防災ハンドブック 自宅でも避難所でも困らないための知識』から、今知っておきたいトイレの知識を一部ご紹介します。
発災から3時間以内に38.5%の人がトイレに行く
自然災害の発生後にすべきことは何でしょうか?
地震や豪雨などが起きたときに真っ先にすべきなのは、自分の命を守ること、そして安全な場所に避難することです。ここまでの行動は、全員一致するでしょう。
問題はこの後です。
避難所では避難者の誘導や場所の確保、水・食料の配給などに多くの人が奔走します。もちろんこれらは大切ですが、それと同じくらい重要なのに忘れられがちなことがあります。
それが「トイレ対応」です。
大きな災害が起きると水洗トイレは使えなくなります。しかし、私たちの排泄は待ってくれません。
2016年4月に発生した熊本地震での調査によると、発災後3時間以内にトイレに行きたくなった人は38.5%、6時間以内では72.9%に上ります。
発災後6時間は大混乱状態で、恐らくこの約7割の人は水を飲んでおらず、食事も摂っていないはずです。それにもかかわらず、トイレに行きたくなるのです。
つまり、水・食料より先にトイレ対応が必要ということです。
私たちはこの事実から目をそらしてはいけないのです。