時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは岡山県の60代の方からのお便り。昔から雨女だったというゆーみんさん。でも、自身は雨が好きで、むしろ雨だとやる気がアップしていたそうですが、最近ちょっと変わってきたそうで――。
やっぱり私は雨が好き
私は雨女。外出時、それも旅行など大事な日に限って降られることが多いのです。そのたびに家族から白い目で見られ、しんどい思いもしてきましたが、私自身は雨が好き。静かで落ち着いた雨の日の空気が心地よく、出先で降られてもなんだかほっとします。それどころか、やる気がアップするような気さえするのです。
ところが最近、変化が起きました。雨の日に体や頭が重くなったり、気分が落ち込むことが増えたのです。低気圧のせい? それとも湿度か気温差でしょうか。今まではこんな症状、ありませんでした。
「老化」の二文字が逃れがたく頭をよぎります。一度そう思うと、あちこちの痛みや内臓の不調などが次々に気になり始めました。
そんなある朝、日課の散歩に出たときのこと。数時間後に雨という予報でしたが、体調には問題ありませんでした。降り出さないうちに、と玄関を出た途端、小さな雨粒がポツリ。「ああ、やっぱり」と傘を差して歩き始めると、小雨から本降りに。
するとなぜかその日は、あの頃の大好きだった雨の感覚が蘇ってきたのです。しっとりとした水の匂い、傘に落ちる雨音。木々や草花もイキイキしているように見えます。
体が変化していこうとも、私は私。なんだかそのとき、そう思えました。雨をまた好きだと思えて、自分のことも肯定できる気になったのかもしれません。
そんなことを思っているうち家に着くと、すっと雨がやみます。ああ、やっぱり私は雨女。