紫式部の親友「小少将の君」とキャリアを買われた「宮の内侍」

次に「小少将の君」。ドラマでは福井夏さんが演じていらっしゃいますが、彼女は「大納言の君」の妹で、紫式部の親友です。

「二月(旧暦、今なら三月後半)の若芽が出て枝垂れ始めた柳のような人」とされ、この表現は『源氏物語』「若菜下」にある、光源氏の二人目の正妻、女三宮と共通します。

小少将はひきこもり系の子供っぽい人ということなので、自分を表に出さず、なよっとした女三の宮のモデルかもしれません。

その中で少し例外的なのは「宮の内侍」で、本名を橘良芸子という、藤原氏以外の出身です。

彼女は彰子が中宮になった頃から内侍(掌侍)、つまり秘書官長を務めています。もともと道長の姉の東三条院詮子に仕えていた人なので、キャリアを買われて送り込まれたようです。

清楚で堂々とした中に華やかで愛嬌があるとしています。

これら上臈の女房たちは、ルックスや礼装の色使いなどのファッションセンスがいかに素晴らしいかを絶賛されていいます。

紫式部は意外に計算高い人なので、読み手の印象を意識した、いわゆる「ヨイショ」も多いのかもしれませんが、やはり彼女たちは採用の段階でセレクトされた人たちなのでしょう。ということは、上臈女房らは特別な教育を受けていたエリートと考えられます。

でもそれって、彼女らが上臈女房になるのではなく、もっと上、つまり「妃がね(お妃候補)」として育てられた人だということではないのでしょうか?