高齢者の増加
社会の高齢化が進んでいることも、精神科の病気が増加している大きな理由の1つです。
海外も含めた複数の地域で行われた住民調査の結果によると、高齢者のおよそ5%はうつ病とされています。
2023年時点で、日本の高齢者(65歳以上)の数は3623万人。単純計算すると、高齢者だけでうつ病の患者は180万~190万人いることになります。
高齢者のうつ病は「老人性うつ」と呼ばれ、脳の働きに関係している特定の神経伝達物質が、加齢とともに減ることによって起こるといわれています。
老人性うつは気づきにくいこともあって、老人性うつで受診する人はそれほど多くありませんが、認知機能の低下などが見られるため、家族が認知症だと思って精神科に連れて行くケースが結構あります。
また、老人性うつを放置すると、認知症につながりやすいことも知られています。
※本稿は『「精神医療」崩壊 メンタルの不調が心療内科・精神科で良くならない理由』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
『「精神医療」崩壊 メンタルの不調が心療内科・精神科で良くならない理由』(著:和田秀樹/青春出版社)
増加の一途をたどる心を病む人びと、メンタルの不調から復職しても約半数が再休職する現実、5分診療・薬を出すだけ診療はなぜ起こるのか?
精神科医・心療内科医の数は増え、メンタルクリニックも増えているのに、メンタルを病む人がちっとも良くならないのはなぜなのか?
気鋭の精神科医がその深層に切り込んだ一冊。