ネクストバッターサークルに翔大の姿が!
前日の曇天がウソのような秋晴れの3日目。
注目の花巻東高校との初戦が行われた。
夏に逆戻りしたような陽気のなか立派なリース平和球場に入ってみると…。
まさかとは思ったがスタンド席をうっすら火山灰が覆っていて、雑巾で拭き取ると真っ黒になった。
「こ、これがうわさの火山灰…」
鹿児島に来た感満点の球場だ。朝見た絵葉書のような桜島にかかっていたのは、やはり雲ではなく小さな噴火による噴煙だったようだ。
そんななか試合は行われ、いきいきと本当に楽しそうにグラウンドを駆け回る選手たちの姿を見守った。7月の引退試合の時もそうだったように、
「野球って、こんなに楽しかったかね!?」
そんな野球が目の前に展開した。最初ファーストコーチャーに入っていた翔大の大きな声が、私たちのいるスタンド席までよく響いて届いた。
絶対勝とう!という甲子園の時の執念よりは、1イニングでも長く試合をみんなと野球をやろう!最後はまだ今日じゃないぞ!という試合に見えていたのは、私だけではないはず。
たぶん神奈川の実家から中継で試合を見ていたら、6回の裏3点リードの電光掲示板のメンバー表に8番代打「元木」の名前が入った時、目から鼻からジャンジャン水を噴き出して泣いたであろう母、いずみ。
でも現地で見ていたからネクストバッターサークルで金色のバットをブンブン振る翔大の姿が、かなり手前から視界に入ってきてしまった。
もう何年も何年も何回も、小さい時からこんな場面を見てきたのと同じように、
「いけ、翔大!!」
その瞬間ぎゅっと目をつぶって打席を見守る。
(見てないじゃん、とよく言われる)
そこからハイ、いち、に、さん、とあっという間の、見逃し三振。
( ̄▽ ̄;)…。