用語の改訂が続く

「昭和40年図式」になると、車両渡の用語もさらに「渡船(フェリーボート)」に変わっている。

日本語で「フェリー」といえば旅客と自動車を積み込める少し大きめな貨客船を連想するが、英語のferryは川の両岸を往来する小さな渡船も含む広い概念だ。

地形図の記号としては「大正6年図式」の時点で存在した「汽船渡」「人馬渡」「人渡」は「昭和30年図式」で「車両渡」と「人渡」の2種類に統合されるが、「昭和40年図式」では「渡船および航路」の1種類に統一された(記号は横線のないもの)。

ところが同42年(1967)および44年の改訂で従前の2種類が復活、加えて用語を「渡船(フェリーボート)」と「渡船(人渡)」に変更している。

復活した理由はあくまで私の想像だが、間近の対岸を結ぶ渡船と、ある程度長距離のフェリーの乗り場はたいてい離れた場所にあるため、それが区別できないのは困るという声が寄せられたからではないだろうか。

今のようにスマホでインターネットの情報がすぐ調べられる時代ではない。はるばる歩いてたどり着いてみたら船着場が違って乗り遅れた、という目にあった人も少なくなかっただろう。