人工透析を受けている患者さんの運動の効能

また、人工透析を受けている患者さんにとっても、運動は重要です。

これまでは、人工透析を続けているうちに足腰がどんどん弱り、サルコペニアやフレイルを発症し、ついには車イスに頼るという人がかなりいました。

足腰が弱るのを防ぎ、人工透析の効率を上げるのに、運動が効果的であることを多くのデータが示しています。

高齢の患者さんが陥りやすい低栄養状態を予防するのにも、運動が役立ちます。

こうした人たちにとって運動は、以下の4つの意味を持ちます。

・人工透析を受けている患者さんの運動の効能
(1)運動で人工透析の効率が上がる。疲労も残らなくなる
(2)ADL(日常生活動作)の改善、降圧薬を減らし、心不全治療のためにも有効
(3)運動が心血管疾患の予防に有効
(4)サルコペニアやフレイル、低栄養状態の予防に有効

保存期の人や人工透析を受けている人は、心血管疾患に健常者よりもかかりやすいとされますが、心血管疾患の予防にも運動が有効であることがわかっています。

※本稿は、『腎臓の名医が教える 腎機能 自力で強まる体操と食事』(徳間書店)の一部を再編集したものです。

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