DVDのパッケージ
写真・イラスト提供◎さかもとさん 以下すべて
1989年に漫画家デビュー、その後、膠原病と闘いながら、作家・歌手・画家としても活動しているさかもと未明さんは、子どもの頃から大の映画好き。古今東西のさまざまな作品について、愛をこめて語りつくします!(写真・イラスト◎筆者)

幼い娘EVAを撮影したイリナ・イオネスコ

「イリナ・イオネスコ」の名前と作品は知っていた。ちょうど私が大学を卒業した1987年、書店に行くと、朝日出版社の『NUDE 3』が目に留まり、すぐに購入した。漫画家志望で浪人中の身には高価な買い物だったが、世界的な様々な写真家たちによるヌード写真に目を奪われた。その中に幼い娘EVAを撮影したイリナ・イオネスコの写真があった。まだ幼い裸体があられもなく晒された、幻想的で退廃美に満ちた作品。私は一瞬で虜になった。

娘のEVAを撮影した最初の写真集『鏡の神殿』は、1977年に出版されている。EVAは1965年生まれで私と同い年、1977年は12歳。撮影自体はもっと前だろう。まだ小学生なのに自分のヌード写真集が世界中で話題になり、『PLAYBOY』にその一部が掲載されるなんて、精神的にかなり不安定にならないかと不安を覚えた。

案の定2012年に47歳になった娘のEVAは、「子ども時代を奪われた」として、母親を相手取り、写真の原版返却と20万ユーロ(当時で2千万円強)の損害賠償請求を起こしている。

ヌード写真が世に出たことで、学校ではいじめにあい、様々な男性に欲望の対象として見られて苦痛を覚えたようだが、当然だろう。