さかのぼって減額もあり得る

そして見落としがちなのが「高齢者特別控除15万円」と太田氏。

「所得税や住民税を計算する時の年金所得は、年金収入-公的年金等控除=所得ですが、65歳以上で国保料の減額制度の場合(年金収入のみ)は、国保法に基づき『年金収入-公的年金等控除-15万円(高齢者特別控除)=所得』となります。例えば年金収入120万円のみの場合、120万円-110万円(公的年金控除)-15万円(高齢者特別控除)=マイナス5万円=所得ゼロとなります。応益割(均等割)7割減額の適用になるでしょう」

国保料決定通知が来た際、計算式のどこかに世帯所得が記載されているはずなので、自分が申告しているものと同一かという確認をしておきたい。

さて太田氏のもとに時折、国保料滞納で相談に訪れる人がいるという。所得無申告で減額制度が適用されていないような場合は、自治体窓口に行かせて「さかのぼって適用してくれませんかと言うように」とアドバイスしているそうだ。

「地域によって国保料でなく国保税といわれることがありますが、一番の違いは『時効』です。保険料なら2年、保険税の場合は5年、さかのぼって減額適用してもらえる可能性がありますよ」

 

※本稿は、『国民健康保険料が高すぎる!-保険料を下げる10のこと』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。


国民健康保険料が高すぎる!-保険料を下げる10のこと』(著:笹井恵里子/中央公論新社)

今は国保と無関係な会社員も、定年後は「国民健康保険」への加入が選択肢に挙がる。

制度の仕組みから、国保料を下げる10のポイント、経済的に困窮した際に打てる策、さらには支払った国保料によって他の税金を安くする方法まで一挙紹介する。

弁護士とファイナンシャルプランナーによって監修を行い、日々の暮らしの助けとなる1冊。