「自称保守」の人々が問題にしなかったできごと
そういった「自称保守」の人々がまったく問題にしなかった、北方領土関連のできごとがありました。
領土問題を所管する内閣府の入るビルの側面には大きな看板があり、以前は「北方の領土かえる日平和の日」という標語が掲げられていたのですが、いつの間にかこれが「北方領土(ふるさと)を想う。」という意味不明の、何の意志も感じられない不思議なものに変えられていました。
いつ、どのような理由で「想う」となったのか、定かではありませんが、日ロ間の首脳会談が頻繁に行われるようになった時期ではなかったかと思います。
北方領土は、国際法違反の暴力的行為によって不当に占拠されている我が国の領土であり、この返還なくして、平和条約の締結もないし、真の意味での日ロ間の平和は到来しない、という強い認識を国民が共有することこそが必要です。
この件に関する報道は、自称保守系メディアにはほとんど見られませんでした。ロシアを刺激してはならない、という忖度が働いたのだとすれば、それは本末転倒というべきものです。
その後、自民党の外交部会や国防部会で何度かこの不当性を指摘したこともあってかどうかわかりませんが、また元の標語に戻り、ひとまず安堵しております。
※本稿は、『保守政治家 わが政策、わが天命』(講談社)の一部を再編集したものです。
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