大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。ドラマの放映をきっかけとして、平安時代にあらためて注目が集まっています。そこで今回は三条天皇の最期について、先日『女たちの平安後期』を刊行された日本史学者の榎村寛之さんに解説をしていただきました。
三条天皇と道長
ドラマ内で病を原因として、道長から譲位を迫られている三条天皇。
そもそも彼の即位は、史実としての道長にとって、やりにくいことが多かったように思われます。
一条天皇であれば、父の兼家や兄の道隆が摂政として敷いてくれたレールに乗ってコントロールしていけばいいので、少々のトラブルは何とかなったのでしょうが、三条天皇とはそれほど親しくもない。しかもあの花山天皇の弟です。
17歳で即位した花山天皇でも、自分の側近をまとめて政治改革を考えたのですから…。
36歳になった三条天皇が何を言い出すか、ある意味、固唾を呑んで観察していたと思います。