目を患った三条天皇
その三条天皇には有名な「目を患った話」があります。
三条の眼病については、『小右記』の長和四年の記事にはかなり詳しく書かれているのですが、日によって症状が違っていたようです。
ちなみに『御堂関白記』にはこの時期の記事がなく、藤原道長に近い立場で書かれた歴史物語『栄花物語』はほとんど無視しています。
面白いのは同時代を書く『大鏡』が、三条の眼病は院になったあと、つまり譲位後のこととし、譲位に至るまでの道長との葛藤とは、別の話にしていることです。
『大鏡』では、「金液丹」の話とともに、桓算(史実では賀静というらしい)という僧が天狗になって、天皇の肩の上に乗っていると記しています。
その天狗の左右の羽で三条は目を覆っており、羽ばたきをする時にだけ見えるのだ、と。
かなりフィクション性が高いことから、『大鏡』はかなり話を盛っているように思われます。