秘薬「金液丹」を170年ぶりに処方した結果…
それから三条はどうしたか?
この時期の道長が健康不安を抱えていたこともあり、まず<長生き>しようと考えたのでしょう。
しかし藤原実資の『小右記』によると、三条も東宮時代から「風病(神経痛から脳内出血まで、運動機能の減退を伴う病気)」「瘧病(マラリアに急な発熱を伴う病気)」を患うなど、不健康という意味では道長といい勝負でした。
その不健康さは「一条天皇より年上の東宮」という立場で、25年間ものストレスフルな生活におかれた結果なのでしょうか。しかも、即位後その環境はなお厳しいものになったと考えられます。
そこで三条は万能健康薬と言われる「金液丹」という秘薬を、天皇としては9世紀の仁明天皇以来約170年ぶりに処方させます。
しかしこれは中国の神仙思想に基づく、仙人になるための薬で、成分に水銀やヒ素を含んでいる劇薬、というかほとんど毒物で、健康被害を誘発した可能性が高いのです。