血管のしなやかさ、硬さを示す血管年齢は20歳、基礎代謝の数値をもとにした体内年齢は36歳。佐藤ヒデさんは2023年9月に受けた健康診断で驚異の数値を出して、広く知られるようになりました。その若さの秘訣と暮らしぶりとは。陸前高田市に住むヒデさんは、80歳のときに東日本大震災で被災。約3年間に及ぶ仮設住宅での暮らしの中で、「ちりめん人形」作りに挑戦しました。出来上がったものを神社やお寺に預け、お参りに来る人に無料で配ってもらったそう。そこから、人との出会いが広がって――(構成=塩坂佳子 撮影=本社・武田裕介)
朝ドラを見終わったら早速ミシンに向かう
震災後、さまざまな出会いがあったなかに、京都のご夫妻がいたんです。人形作りの話をしたら、「たくさんあるから」と古い着物や帯なんかをドカッと送ってくださいました。20kgの段ボールが7箱も! 裁縫やお茶、踊りを嗜む人におすそ分けしたけれど、まだまだ届くから、88歳にして初めてミシンを購入。着物をリメイクした洋服作りを始めたんです。
布を裁つのは難しいから裁縫の先生にお願いして、私は縫う担当。今では50代とか60代とか、私よりもうんと若いリメイク仲間がたくさんできて、生きがいになっています。
朝食をとって朝ドラを見終わったら、早速ミシンに向かい、作業開始です。うちには近所の人や親戚など、しょっちゅう人が来るから、できる時に済ませないと仕事が終わらないのよね。夜もキリがいいところまでやらないと気が済まないので、かなり遅い時間まで作業することもあるんです。
息抜きには雑誌を読んでいます。活字がびっしり並んだ雑誌を毎月、購読して読んでいて。政治家とか実業家とか、苦労して成功した人のインタビューを読むのが好きです。届いたその日にだいたい読み切ってしまう。
私は口だけじゃなくて、実践する人が好きなんです。文句ひとついわないで家族のために一生懸命働いた、自分の兄姉たちの姿が重なるのかもしれません。難しい内容も多いけれど、読まないよりは読んだほうが、脳や心の老化に歯止めが利くような気がするのよ。