違う病院なら、違う医師なら

妻をすい臓がんで亡くした60代の男性は、病院に対して怒りを感じていました。

「妻が亡くなった病院の名前を聞くだけで怒りがこみあげてくる。がんが見つかって3か月で逝ってしまったんです。これまで何度も検診を受けていたのに、見つけてもらえなかった。違う病院だったら……。違う医師だったら……。今日も隣には妻がいるだろうと思わずにはいられないんです。病院や医師に対しては怒りしかありません」

『もう会えない人を思う夜に 大切な人と死別したあなたに伝えたいグリーフケア28のこと』(著:坂口幸弘、赤田ちづる/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

語気を荒らげて話される様子が印象に残っています。

おさまりどころのない怒りは、亡き人があなたにとって本当に大切な存在だったことの表れでもあります。

怒りの気持ちが、今の自分を支えてくれていると感じる人もいます。