どちらか一方を鍛えても望む結果は得られない

このことから、私たちの研究グループでは、現在も脚力と血管力についての研究を進めています。最近は私たちばかりでなく、世界中の研究者が脚力と血管力の相関関係を次々と証明しています。

とくに、脚力に関して、『百歳まで歩ける人の習慣 脚力と血管力を強くする』のテーマである「歩く力」を直接評価する指標として用いられる「歩行速度」の低下が、血管力の低下(動脈硬化の進展)と関連するかどうかを高齢者を対象にした研究結果が、最近、報告されました。

この研究では、65〜96歳までを対象とし、492人の地域住民における歩行速度と血管力の関係を調べています。血管力の指標としては、私たちの研究と同様の血管年齢検査が用いられました。

その結果として、「歩行速度の低下が、とくに下肢の動脈硬化の増加と関連している」ことがわかり、脚力と血管力の親密な関連が示されました(「フロンティヤーズ・イン・サイコロジー」2020年11月23日)。

このように、一生歩けるための脚力と血管力には密接な関係があり、どちらか一方だけを鍛えても望むような結果は得られません。どちらが先ではなく、「ともに」重要だと考えています。

ぜひ、みなさんには、脚力と血管力を同時に鍛えて、いつまでも自分の力で歩けるようになっていただければ幸いです。

 

※本稿は、『百歳まで歩ける人の習慣 脚力と血管力を強くする』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。


百歳まで歩ける人の習慣 脚力と血管力を強くする』(著:伊賀瀬道也/PHP研究所)

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