2017年に亡くなった母・野際陽子さんに、30年もの間甘えることを許されなかったと言う真瀬樹里さん。今振り返る母の姿と、胸に抱く夢とは(構成=篠藤ゆり 撮影=玉置順子)
これまでのぶん子ども返り
30歳を過ぎたある日、例によって母に叱られ、私は泣きながらいつものように自分の部屋に逃げ込みました。ところがその日は気持ちのコントロールができなくなり、わんわん泣きながら母のいる居間にすぐ戻って。
母は私のただならぬ様子に驚き、「どうしたの?」と聞いてきました。
たぶん、子どもの頃から溜まりに溜まっていたものが爆発してしまったのでしょう。抑えがきかなくなり、「私はママに励ましてもらいたかったんじゃない」みたいなことを言って。
その次の言葉は、今もはっきり覚えています。こう言ったんです。「私は、ただ抱き締めてほしかった」。