適応障害になって分かったこと

実は私自身も、クリニックを立ち上げるときに適応障害になりました。産業医の仕事を続けつつ、併設するフィットネスジムも同時に立ち上げたので、やるべきことも考えるべきことも多すぎて、参ってしまったのです。

当時は、医師である自分がフィットネスジムまで立ち上げるなんて、うまくいくわけがないじゃないか、と不安にもなりましたし、ノウハウはないので初めてのことの連続。

『産業医が教える 会社の休み方』(著:薮野淳也/中央公論新社)

「明日は何をしよう?」「どの問題から片づけよう?」と一日中絶えずフルに頭を働かせている状態になり、夜は眠れず、食事量も減って、気づけば体重が10キロほど落ちていました。

ただ、自分自身も“患者”になったことで、いい勉強になりました。自分でいうのもなんですが、体力にも気力にも自信のあった自分でも適応障害になったのです。やっぱり誰しもなり得るのだと分かりましたし、この経験がきっかけで、睡眠の大切さが身に染みて、眠れないときには素直に薬に頼ろうと睡眠薬を使うようになりました。