突然の入院に彼の兄が来たけれど

ある日、いつものように買い物をして帰宅した昼頃、突然彼が下血して倒れた。急なことに気が動転しながらも、私は救急車を呼んだ。

搬送された病院で十二指腸潰瘍と診断され、夜中に6時間もの手術をして何とか一命をとりとめた。ただ容体は悪く目を覚まさない。いつ意識が戻るのかと見守っては帰る日が続いた。

そんな彼を、彼のお兄さんと2人で看病することになった。しかしお兄さんはいっさいお金を出さない。なんと妻に不倫がばれて離婚され、今は別の家庭を持っているため、経済的に厳しいということだった。

兄弟そろって……と思ったが、病院からは、おむつや薬を買うよう指示されている。自分がお見舞いに来る交通費もやっとという感じのお兄さんには期待できず、私がすべて支払った。

しかし、そんな看病も突然、要らなくなってしまったのだ。彼の意識が戻ったのは6日目。その翌日に病院から彼の急変を知らされた。「これからリハビリですね」と言われたのはつい昨日のことなのに、彼は亡くなってしまったのだ。