「自律神経は50歳を過ぎると、野生動物であれば自然界で生きられないレベルまで下がる」――。そう語るのは、自律神経の名医・順天堂大学医学部の小林弘幸教授です。避けて通れない<老い>の真っただ中で、自律神経を整えて楽しく過ごしていくためには、どのような習慣を身に付けたら良いのでしょうか?今回は、小林教授の著書『老いが逃げていく10の習慣 自律神経さえ整えばすべてうまくいく』から、すぐに実践できる<老いない習慣>を一部ご紹介します。
暇だと不安を感じやすくなる
老後に不安を感じるか? と訊かれて感じないと答える人はまずいらっしゃらないのではないでしょうか。誰だって生きていれば不安に感じることはあるものです。
株式会社セコムが、20代から60代の方500人以上を対象に、2021年にインターネットで行った「老後の不安に関する意識調査」によると、「老後に不安を感じる」と答えた方は8割以上。年代別では40代女性が92%と最も高い結果でした。
また、不安の内容を「病気やけが」と答えた人は全体の8割以上、「経済的負担」と答えた人は全体の6割以上、「介護」と答えた人は5割以上でした。最近さまざまな調査機関がこのような調査を行っていますが、大体結果は似ていて、健康・お金・孤独は老後の三大不安ともいえます。
人間とは不思議なもので、一つ不安があると、一つにとどまらず、それに付随してさまざまな不安がわーっと押し寄せてきます。でも、そういうときはいつだったか、と冷静に思い出してみると、案外暇なときだったということ、ありませんか?
あなたの周りにいつも忙しく動き回っている人はいませんか? もしいるなら、ちょっとその方を思い浮かべてみてください。その方が不安を口にするのを聞いたことはありますか? おそらくないはずです。忙しく動き回っている人ほど、不安を感じないものなのです。