本人の「意思確認」をしないで預金の引き出しを認めれば…

親の預金を引き出せずに困っている人を気の毒に思う気持ちもあるでしょうが、本人の意思確認をせずに引き出しを認めれば、後でどんなトラブルが起こるかわかりません。

実際、本人以外の親族が勝手に預金を引き出したことで、本人が銀行を「注意義務違反」で訴え、損害賠償請求裁判を起こすケースもあります。

あるいは、本人の死後に遺産をめぐる「争族」問題が起きた場合、生前に親の預金を引き出していた人が兄弟姉妹などから「おまえは勝手にお母さんの預金を使っただろう」と問題にされることもあり得るでしょう。

その場合も、本人確認をしなかった銀行が注意義務違反を問われる可能性があります。

勝手に引き出した人を相手にするより、銀行を相手に裁判を起こしたほうが、勝訴したときに損害賠償金を取りやすいからです。

そのような訴訟リスクを避ける上で、B子さんの母親の預金を凍結した銀行の判断は妥当だといわざるを得ないでしょう。