「不安やイライラ、めまい、不眠などの不調を訴えて『過緊張』や『不安症』と診断されるビジネスパーソンが増加傾向にある」――。そう指摘するのは、精神科医の和田秀樹先生です。人前に出ると頭が真っ白になったり、過度な緊張状態が続いて自律神経のバランスが崩れたり…。緊張や焦り、不安を落ち着かせるためには、どうすればよいのでしょうか。今回は和田先生の新著『仕事も対人関係も 落ち着けば、うまくいく』より、精神医学や心理学の観点から、平常心を取り戻して自分の本領を発揮するための方法を一部ご紹介します。
一度で「うまくいく」と考えない
大事な仕事に取り組むときに、緊張したり、不安になる人には、「一回で絶対に成功しないといけない」と考えている人が多いように思います。
「一度で決めたい」と強く思い込んでしまうと、緊張感が生まれて、焦りや不安に悩まされます。
こうした状況に自分を追い込むことは、短絡的で拙速な思考に走ってしまう原因にもなります。
「一度で決める」という考え方は、自分のプライドや美意識、周囲の目などが深く関係していますが、一度で決めても、最後に決めても、結果は同じことです。
最終的にうまくいけばいい……と意識を切り替えれば、心理的な余裕が生まれて、さまざまな選択肢を検討することが可能になります。
多くの選択肢を試すことができれば、さらにいい結果につながることもあるのです。