江戸美人の第一条件とされたのは、色白できめの細かい肌
そこで、江戸の女性たちは糠(ぬか)で肌を磨き、手入れに精を出しました。湯屋では、1回分4文(80円ほど)で糠が売られていました。
うぐいすのふんも美肌効果があるとされ、今に至る化粧アイテムになりました。
肌の保湿には、米のとぎ汁が使われました。まず、とぎ汁の上澄みを捨て、下にたまったものを濾(こ)して天日で干します。
寝る前にそれを顔に塗って、翌朝、洗い流すという手間をかけていました。今でいえば、パックのようなものです。
髪の生え際がきれいで、髪に艶があることも、江戸美人の条件だったので、女性たちは髪の手入れにも余念がありませんでした。
黒髪に艶を出すために使われたのが、海藻からとったフノリです。それにうどん粉を混ぜ、熱湯に入れたもので、髪を洗ったのです。
また、髪の生え際には白粉をほんのり塗り、うなじは顔より濃いめの白粉を塗って強調、下地には少量の油を塗って艶を出していました。
口は、小さいことが美しいとされたので、女性たちは、下唇は口紅を濃く、上唇は淡く塗って、小さく見せていました。
※本稿は『蔦屋重三郎と江戸の風俗』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
『蔦屋重三郎と江戸の風俗』(著:日本史深掘り講座(編集)/青春出版社)
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