死にたい気持ちが痛いほどわかるから
弘道 脊髄梗塞は生命保険が保障する三大疾病の対象外なんだよね。心筋梗塞や脳卒中に比べて患者数が少なすぎて、見落とされているとしか思えない。
久美子 弘道さんは歩けるまでに回復したけど、排泄障害はあるし、リハビリはずっと続けなくちゃならないのにね。今回、この病気を広く知ってもらえたことが改善のきっかけになるといいね。
弘道 そうだね。僕は今後もリハビリを続けて、スムーズに歩けるようになりたいし、しびれや排泄障害も克服したい。脊髄梗塞は今のところ治療法もないし完治もない。でも、ここまでできるようになるんだという症例が作れたら、同じ病気の人を勇気づけられると思うから。
久美子 今もバランス感覚を取り戻すために、毎日ハードなリハビリをしているものね。それ以外にも、近くの公園でデコボコの階段を上ったり下りたり。「不便な場所を転ばないように歩くのがリハビリです」という、リハビリ病院の教えね。
弘道 それとね、以前の僕は自殺する人の気持ちがわからなかったけれど、今は死にたいと思ってしまう人の気持ちが痛いほどわかる。「生きてるだけでいい」って言葉に救われたことも含めて、そういうことも発信していきたい。
久美子 あとは、二人でずっとやってきた、親子体操教室も。
弘道 それは僕のライフワークだから、死ぬまで続けるよ。