経済の専門家・永濱利廣さん(右)とエッセイストの岸本葉子さん(左)(撮影:本社・武田裕介)
物価高騰が止まらない昨今、私たちの生活に明るい兆しは見えるのでしょうか。経済の専門家・永濱利廣さんに岸本葉子さんが聞きました。※2024年に行われた対談です(構成:山田真理 撮影:本社・武田裕介)

注目が集まる「103万円の壁」

岸本 2025年、お金の問題で一番の関心は「いつまで物価高が続くのか」ということです。たとえば食料品などは、商品の値段は上がっていなくても内容量が少なくなっていたりする。そうしたことが続くと、「この先いったいどうなるのか」と不安になってしまいます。

永濱 たしかに、22年に始まったロシア・ウクライナ戦争以降、食料やエネルギーの価格上昇が世界的に続いていますね。ただ、国内に目を向けると、10月の衆議院選挙の結果から少し状況が変わってきたと思います。

岸本 それは、与党が過半数を割り込んだことと関係ありますか?

永濱 はい。政権交代するほどボロ負けではなく、「適度に負けた」ことが大きなポイントです。自公は一部の野党に協力してもらわないと、さまざまな政策を進められない状況です。

石破茂首相は就任時、国民の生活よりも財政規律を守る政策を進めそうな発言がありましたが、すんなりとは通らなくなるでしょう。