シニアの活躍が日本経済を救う
岸本 11月に行われたアメリカ大統領選挙の結果も、私たちの生活に影響はありますか?
永濱 トランプ次期大統領は自国の経済に有利な政策を採るはずなので、短期的にドル高・円安が進む可能性はあると思います。ただ一部で懸念されるような、1ドル170円、200円という水準まではいかないでしょう。
岸本 円安でインバウンドの旅行者が増えたことは喜ばしい一方、こう長く続くと、「私たちは不景気なのに」とイラッとしてしまうこともあります。(笑)
永濱 けれど、外国人旅行者が自国の通貨を円に換えて日本で使ってくれることで、円安抑制になっているんですよ。
経験則ですが、円安の影響で日本の物やサービスが海外で売れるようになり、その供給に追いつくため工場増設や人員増員など環境を整えるまでに、3年ほどかかります。円安が始まったのは22年。ですから来年以降、行きすぎた円安は落ち着いてくる可能性がありますね。
岸本 それは嬉しい。とはいえ、目の前の生活の苦しさはほとんど変わらない気がしています。
永濱 物価が上がれば賃金も上がるもの。今は物価上昇が先に表れているので家計の負担感が強いですが、おそらく来年には実質賃金もプラスになるはずです。今、日本企業は人材が確保できない状況にあるので、賃上げの傾向も高まっていますし。