岸本 いろいろな現場で人手不足が進んでいると聞きます。近所の飲食店が営業時間を短縮したり、よく利用する通販サービスでもドライバー不足の影響か配送が滞ったり、送料の値上げが続いたり……。
永濱 先ほどもお伝えした通り、基礎控除額の引き上げが実現すれば、働き手不足の解消にもつながるでしょう。また、そうした労働力不足の打開策として政財界から期待されているのが、シニアの皆さんの活躍です。
岸本 なるほど。実は私が最近仕事をしている現場でも、63歳の私が最年少(笑)。1人は定年延長で会社に残っている60代、もう1人は70代のフリーランス。ちなみに3人とも女性です。
永濱 日本人の健康寿命は女性が75.38歳、男性が72.68歳と、世界的に見ても長い(19年厚生労働省調べ)。元気なシニアが長く社会で活躍することで、少子高齢化による人口減少の影響は多少なりとも軽減できます。総務省の調べでは、昨年時点で65歳以上の日本人の25.2%が働いていますが、この数字は今後も上がっていくはず。シニア世代の求人も、25年以降さらに増えるでしょう。
岸本 ベテランの人は一緒に働いていて安心感があるし、仕事の進み具合もスムーズです。働きたい人と職場とのマッチングがうまくいけば、まだまだ活躍できる方は世の中にたくさんいるでしょうね。
永濱 仕事一筋だった人が、リタイア後は元気をなくしてしまうこともある。「第二の人生は悠々自適」もいいですが、むしろ長く働いて社会や人と接点を持っていたほうが、心身ともに健康でいられると思いますよ。