永濱 24年1月から始まった新NISA(少額投資非課税制度)では、非課税期間の制限がなくなり、年間投資枠も大幅に広がりました。ただ、この積み立て投資は長期運用を前提としているため、シニアはどうしても投資期間が短くなり、リスク分散が十分にできない場合があります。

岸本 きちんと自分の状況を踏まえて検討すべきなんですね。ある程度の預金があると銀行から投資を勧められたりしますが、本当にやっていいのかなという不安もあります。

永濱 投資初心者は、やるとしても信頼できる第三者に事前に相談するか、元本保証の手堅い商品に限るべきです。しかもここ数年はSNSでの投資詐欺が急増し、高齢者も多く被害に遭っている。そんなに簡単にお金が増える話はない、ということを念頭に置いておきましょう。

岸本 そういえば、11年続いた金融緩和政策が2024年3月に終了して、金利が上がってきましたね。

永濱 銀行にまとまった資金をお持ちなら、より金利の高い定期預金に預け替えるのもいいでしょう。逆に、借金の金利も上がるわけですから、まだ住宅ローンの残高が多い場合は、今より1%以上金利が安いローンに借り換えができるか検討してもいいかもしれません。

繰り上げ返済をする方法もありますが、金利上昇分より手数料のほうが高くなってしまうほか、完済してしまうと住宅ローン減税の対象から外れるなどのデメリットもあるので注意してください。

岸本 今後も金利が上がっていくなら、住宅ローンを固定金利に借り換えるのも一つの方策になりますか?

永濱 うーん、それはどうでしょう。経済状況によって国ごとに「心地いい金利水準」というものがあるのですが、日本の場合は日銀の計算で1%程度と言われています。それを超えて上がるとは考えにくいので、住宅ローンの金利上昇については心配しなくていいと思いますよ。