アドレナリンがハンパじゃない
そんな私でも、初めて捜索救助船に乗ったときは驚きました。それなりの大きさがある船とはいえ、600人もの人たちが救助され、甲板も船内もギュウギュウ詰めの状態で。その中には、臨月の妊婦さんもいれば、まだヘソの緒がついている生後間もない赤ちゃんもいる。
でも、身の危険を冒してでも、海を渡ってよりよい暮らしがしたいと思っている人たちのエネルギーってすごいんですよ。捜索救助船に避難してからも威嚇射撃をされることはありますし、海が荒れて甲板がびしょ濡れになり、狭い室内に大勢が閉じ込められてしまうこともある。
そんな過酷な状況に置かれても、「このTシャツの色は嫌い! 他の色に変えて!」なんて訴えてくる。食事を配る列に横入りして、いち早く自分の分を確保するのはあたりまえ(笑)。震災時に、水や食料を配る列に大人しく並んで待っている日本人とは大違いです。
「絶対に生き抜いてやる!」というエネルギーがハンパじゃない。そんなパワフルな人たちに囲まれているとアドレナリンがバンバン出まくって、めちゃくちゃ楽しい。過酷な状況であればあるほど、生きているという実感がある。それが、私がこの仕事を続けている一番の理由なんですよ。