“割を食う”立場がダメージを一手に引き受ける

ただそれでも、日本が諸外国よりも悪辣なネオリベ政策を取ってきたように見えるとしたら、その政策で得をする人と損をする人がイビツな分布になっていたことが理由だと考えられます。

社会の安定性をグローバル経済の荒波から守るために、ほぼ世界一だった「昭和の経済大国の遺産」を冷凍保存して食い延ばすような政策を行ってきたので、その恩恵の行き渡り方が独特のイビツな分布になってしまっている面は確かにあります。

(写真提供:Photo AC)

具体的にいえば、いわゆる伝統的な大企業の正社員や公務員の立場はものすごく守られる一方で、その完璧に守られた椅子と千変万化する経済の荒波とのギャップは全て、派遣社員のようなかなり不安定な立場の人たちが“衝撃吸収材”としてダメージを一手に引き受けさせられる構造になってしまった側面がある。

また、よく指摘されるように、離婚したシングルマザーのような立場の人が色々な意味でシワ寄せを受けて苦労する社会の構造になっていることも事実でしょう。

そういう過去20年の間“割を食う”立場になってしまった人が、今の日本の秩序を憎悪する気持ちになることは、大変理解できることですし、一種の正当性のようなものもある。