これからは自分を幸せにする

少し気持ちは落ち着いたものの、食事が喉を通らない。ふらふらになりながら、20年以上通っている精神科を受診することにした。担当医は優しく、いつも「ぼちぼちいきましょう」と声掛けをしてくれる先生だったので、今回も「大変でしたね」と言ってくれるものと思っていた。

けれど先生は、「はっきり言ってあなたがバカです。ええかっこしいはやめなさい」とおっしゃったのだ。私がポカンとしていると、「体調が悪いというより、自分が悪い。なんでも引き受けて、それで具合が悪いと言って薬を飲んで」と先生は続けた。

「でも、お金を渡さないと夫の家族に嫌われてしまいます……」と、おどおどしながら言う私に、「そんな人たちに嫌われて何だっていうんですか?」と重ねて問う。その言葉を聞いて、「確かに、なぜそこまでして好かれようとしていたのだろう」と、我に返った。

私は昔から真面目すぎるところがあり、自分で作ったルールに縛られてしまうだ。今回だって、結婚したからには夫の家族は何としても助けないといけない、と思い込んだのだ。それで体調を崩したのだから、こんな馬鹿らしいことがあるだろうか。

その週末、私は夫に「これ以上、あなたの家族にお金を出し続けるなら別居します。預かっていたお義母さんの20万円を渡しますから、実家に行って話し合いをしてきてください」と言い放ち、手元にあった私たち家族の通帳と現金すべてを夫に押し付けた。