心おだやかな人になれば、自然と周りに人が集まる

仏教は、いつでも、何が起きても心おだやかな人になることを目指します。おだやかになった心のあり方が悟りで、その境地にいる人を仏と呼びます。

心おだやかな人になれば、結果的に周りから「いい人」に思われることが多いですが、目標はいい人になることではなく、心のあり方なのです。

仏教には、四摂(ししょう)の教えがあります(摂は取り入れるという意)。自然と周りに人が集まる人が持っている、4つの徳です。

中国では、人民の心を治めるために国王が備えるべき徳として説かれました。

・「布施(ふせ) 」は、見返りを求めないで何かさせてもらうこと。
・「愛語(あいご) 」は、やさしい言葉。
・「利行(りぎょう)」は、相手のために行動すること。
・「同事(どうじ) 」は、相手と同じ立場になって一緒に行動すること。

この4つの徳を備えている人がいたら、このうえなく安らかなので、近くに行きたい、そばにいたいと思うでしょう。

しかし、この4つは、人気者になるために取りくむような課題ではありません。周りに人が集まってくるのは、あくまで結果論です。

いい人になるために、さまざまな課題をのり越えてきた人は、こうした教えの原点にたち返って、いい人じまいをしましょう。

他人から見たいい人になった今、この先は、自分にとってのいい人、すなわち、心おだやかな人になることを、少し真面目に考えてみてもいいのです。先に挙げた4つの徳が、そのヒントになります。

壮大な夢かもしれませんが、心が乱れていると感じたときに、四摂の教えを自分の中に探す練習をしてみてください。

心おだやかでいる時間、おだやかでいられることが、確実に増えていきます。