自分は生きていていいという基本的な安心感が乏しい
一般に「愛着」とは、慣れ親しんだものに対する離れがたい心情を表しますが、発達心理学における「愛着」とは、乳幼児と母親など養育者とのあいだに形成される特別な情緒的結びつきを意味します。
生まれたばかりの赤ちゃんは「お腹が減った」「おむつが濡れている」など不快な感情を言葉で表すことができません。泣いたりぐずったりすると親が気づき、不快感をとり除いてくれます。
こうした相互関係がくり返されるうちに赤ちゃんは親を「不快や不安から守ってくれる存在」と認識し、親にくっついて安心を得ようとします。
このとき親は赤ちゃんの存在を丸ごと無条件で受け入れます。「なにかができるから」「努力しているから」愛するわけではありません。
乳児期から3歳頃にかけてこうした無条件の愛情を与えられると、子どもは自分を「生きる価値のある存在」「愛されるべき人間」と認識するようになります。
この感覚が基本的な自己肯定感の土台となるのです。
しっかりとした愛着形成がなされていると自分自身を肯定的に捉えられ、存在していいかどうかを意識することなどありません。