自分で「困難を乗り越える力」を高めることはできる

では、愛着形成は大人になったら手遅れなのでしょうか?

そんなことはありません。さまざまな精神疾患に悩み続けてきた患者さんでも、自分で愛着を補強すればレジリエンス(困難を乗り越える力)を高めることはできます。

建物の基盤工事を最初からやりなおすことはできませんが、弱いところを見つけ、筋交いや柱で補強すれば、大地震にも耐えられる強靱な建物にすることはできるのです。

患者さんに「これから愛着の補強工事をしていきましょう」というと、それだけで患者さんの意識は変化します。

それまで些細なことに動揺し、漠然とした不安や自己肯定感の低さに悩んでいた患者さんも、自分の精神構造をイメージすることによって客観的に見られるようになるからでしょう。

脆弱だった精神構造は少しずつ補強され、しっかりした骨組みの建物に生まれ変わっていきます。

 

成功するまで諦めないエネルギー(写真提供:Photo AC)