基盤が弱いと、なにを積み上げても倒れてしまう
人の愛着形成は、建物の構造にたとえることもできます。
愛着がしっかり形成されている人は、強靱な耐震構造をもつ建物のようなものです。基礎構造が堅固なので、どんなに大きな地震が起きてもびくともしません。
一方、愛着が不十分な人は、基盤が弱い建物のようなものです。なにを積み上げてもすぐ崩れ、ちょっと大風が吹けば傾いてしまいます。そうした弱さによって、うつ病や不安症などの精神疾患を発症する人もいるでしょう。
一般に精神科を受診すると、直接的な原因をとり除き、現在あらわれている症状をやわらげるための治療を行います。
しかし、愛着に問題がある人の場合、現在の症状だけに注目しても埒(らち)が明きません。目に見える症状や直接的な原因は、建物の外観と同じです。
ひびが入った壁面をいくら塗りなおしたところで、基盤が弱いままでは、またすぐ崩れてしまいます。精神の基盤工事(愛着形成)が未完了のままでは、根本的な治療にはつながりません。