東証主導で第三者委員会が投入される
この「救済のシナリオ」には、上場の生殺与奪を握る東証自体も参画した。そして、筋書きに説得力を持たせるべく、東証主導で投入されたのが、第三者委員会という役者だったのだ。当時の東証斉藤惇社長の定例会見(同年10月28日)での発言を「ロイター」(同日付)は、次のように報じている。
「オリンパスは第三者委員会を立ち上げ事実関係を調べる方針をすでに示しているが、斉藤・東証社長は、第三者委員会の設置を東証が提案したことを明らかにした。第三者委員会について、オリンパス自らが委員の人選をする場合、その調査を信頼できるかについて斉藤社長は『日本では株主を守る法律の準備ができている』と述べた。オリンパスが意図的に有利な人選をすれば、最終的に株主代表訴訟という選択肢もあることを指摘した」
甲斐中辰夫弁護士(元最高裁判事)を委員長とする第三者委員会が設置されたのは、同年11月1日である。そして約1ヵ月というスピード調査の末、12月6日、「調査報告書(要約版)」が公表される。
巨額の損失隠しが歴代社長をはじめとする「トップ主導で秘密裏に行われた」ことを認定するとともに、問題を見過ごした経営陣の一新や、関係者に対する法的責任の追及を求める内容だった。
さらにその後、同社は矢継ぎ早に「取締役責任調査委員会」、「監査役等責任調査委員会」を立ち上げて、前者は12年1月7日に、後者は同年1月16日に、それぞれ「調査報告書」を公表したのである。