上場廃止の危機を免れる

こうした経緯の後、東証は、同年1月21日付でオリンパスを「監理銘柄」から外し、あらためて「特設注意市場銘柄」に指定する。同社は、晴れて上場廃止の危機を免れたのである。

事件が露見した際、オリンパスが外資の手に渡るという話は、確かにリアリティをもって語られていた。それを阻止し、なおかつ青息吐息の同社を蘇生させるという「国策」の成就に、第三者委員会は一役も二役も買った。別の言い方をすれば、見事に「有効活用」された。

第三者委員会は、誕生から10年あまりの間にそこまで社会的な影響力を持つ存在となっていたのだ。同時に、東証が“お墨付き”を与えたことで、その存在はさらにオーソライズされることとなった。

※本稿は、『「第三者委員会」の欺瞞-報告書が示す不祥事の呆れた後始末』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。


「第三者委員会」の欺瞞-報告書が示す不祥事の呆れた後始末』(著:八田進二/中央公論新社)

真相究明どころか、追及から逃れる「隠れ蓑」に!?

「第三者委員会格付け委員会」委員として組織を監視してきた会計のプロフェッショナルが、第三者委員会を徹底分析する。