筋肉が減るサルコペニア

高齢者は、加齢によって筋肉量が減る「サルコペニア」という病気にも気をつけないといけません。1989年に提唱された新しい概念で、「筋肉量が減って身体能力が低下した状態」を指します。ギリシャ語の「肉=サルコ」と、「喪失=ぺニア」を組み合わせた造語です。

決定的な定義はまだありませんが、筋肉量減少・筋力低下・身体機能低下などがあればサルコペニアと診断されます。症状としては、疲労や倦怠感、冷え性、集中力の低下、食欲不振などがあります。原因は、加齢や寝たきり、運動不足、高度な臓器障害、タンパク質摂取不足、薬剤の影響などが挙げられます。

『健康寿命をのばす! 整形外科医のカラダの痛み相談室』(著:井尻慎一郎/創元社)

自分がサルコペニアかどうかを知るには筋肉量を確認するのが大事ですが、MRIやCT検査だと費用がかかるので、筋肉量も計測できる体重計を利用するのがお勧めです。

対策については、ほかの病気が原因ならその病気を治すのが最も大事ですが、単に加齢が原因であれば、運動などで改善が期待できます。

ただし、激しい有酸素運動は筋肉を増やす効果が少ないといわれるので、1セット10回程度で少し疲れるような運動を1日2~3セット行いましょう。運動後に筋肉を休めるのも忘れずに。1週間に2~3回の運動が、最も効果が高いといわれています。